東北大学 材料科学高等研究所WPI-AIMR

数学と連携した社会と世界につながる先端材料科学

拠点ロゴ
WPI-AIMR(東北大学 材料科学高等研究所)は、これまでに醸成された数学-材料科学連携の精神をさらに発展させ、革新的な材料創製により社会貢献を果たし、社会と世界につながる先端材料科学の研究拠点形成を目指します。

研究の目標

数学-材料科学連携に基づく独自の学術基盤をさらに強化

「材料」無くして私たちの社会は成り立ちません。金属·半導体·セラミックス·高分子などの様々な材料が、現代のエネルギー ·情報通信·医療健康·高速移動などあらゆる技術分野を支えており、多くの技術分野は高度な材料の創製とともに発展してきたといえます。この材料創製を加速するためにも、学術的基盤としての「材料科学」を推進することは今後も不可欠です。WPI-AIMRは、数学-材料科学連携に基づく独自の学術基盤をさらに強化し、先端計測技術とも連携して現実の技術分野に展開することで、社会に貢献する材料創製を実現して参ります。

拠点長:折茂 慎一

(拠点長からのメッセージ)

2019年10月よりWPI-AIMR拠点長に就任しました。WPI-AIMRでは、これまで純粋数学から応用数学にわたる幅広い数学者が材料科学者とアンダーワンルーフで研究することで大きな成功を収め、アイデンティティーである数学-材料科学連携を確立しました。今後は、「予見に基づく材料科学」のための新たな学術基盤をさらに強化するとともに、先端計測技術などとも連携して現実の技術分野に展開することで、真に社会に貢献する材料創製を実現して参ります。【社会と世界につながる先端材料科学】を実現するWPI-AIMRに、今後ともご支援賜りますようどうぞよろしくお願い致します。

(プロフィール)

1995年に広島大学大学院生物圏科学研究科博士課程を修了。日本学術振興会特別研究員(数物系)、マックスプランク研究所客員研究員などを経て、2009年から東北大学金属材料研究所教授。2013年に東北大学 WPI-AIMR 主任研究者、2018年に副拠点長、2019年に拠点長。主な受賞に日本金属学会功績賞(2011年)、科学技術分野の文部科学大臣表彰科学技術賞(2012年)、Science of Hydrogen & Energy Award(2015年)、本多フロンティア賞(2021年)などがある。

特徴・研究成果

発展ターゲットプロジェクト・国際頭脳循環の推進

数学と材料科学を強固につなぐために、3項目の発展ターゲットプロジェクトを設定、「トポロジカル機能性材料の局所構造制御」、「結合多様性とその時間発展の統合制御」、「自己組織化の高度化と応答制御」などを中心に研究を実施しています。これらの研究推進、および英国·米国·中国に設置したジョイントラボをハブとする国際ネットワークの拡大を通じて、物質·材料の最小単位である原子·分子の理解とその制御を基盤とした先端材料科学の研究拠点形成を目指します。また、これらの研究をグローバルに展開する研究者育成にも力を入れており、優秀な若手研究者に独立した研究室を与える国際頭脳循環の取り組みなどを鋭意進めています。

全固体電池の高エネルギー密度化を加速する「水素化物超イオン伝導材料」を開発

水素クラスター(水素を高密度に含む錯イオン)の分子構造デザインにより、室温でリチウム超イオン伝導性を示す新たな水素化物を開発しました。この水素化物を固体電解質として用いることで、世界最高のエネルギー密度を持つリチウム負極型全固体電池のデバイス実証にも成功しました。現在、数学―材料科学連携により、イオン伝導メカニズムの解明や超イオン伝導性のさらなる向上を目指す研究を進めています。


図 . 水素クラスターを含むリチウム超イオン伝導水素化物を用いた全固体電池の模式図

折茂慎一 WPI-AIMR 拠点長/デバイス・システムグループ PI ら(2019年「Nature Communications」誌に論文掲載

室温動作スピントロニクス素子を用いて量子アニーリングマシンの機能を実現

室温動作が可能な新概念·揺らぎ利用スピントロニクス素子を開発しました。この素子を疑似的な量子ビット(確率ビット:Pビット)として用いたデモシステムを構築し、量子アニーリングと同様な手法を適用して因数分解の実証に成功しました。最適化問題などの既存のコンピュータが苦手とする複雑なタスクを効率的に処理する新たな方式として期待されます。


図 . 水素クラスターを含むリチウム超イオン伝導水素化物を用いた全固体電池の模式図

深見俊輔 WPI-AIMR デバイス・システムグループ PI ら(2019年「Nature」誌に論文掲載)

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